マンションの浸水対策とは?被害が起きやすい場所と管理組合の備え

近年は、台風や集中豪雨などによる水害が各地で発生しています。「マンションなら戸建て住宅よりも浸水に強い」と思われがちですが、立地や設備の配置によっては大きな被害を受ける可能性があります。

特に、地下や低層階にある電気設備、エレベーター、機械式駐車場などが浸水すると、上層階を含むマンション全体の生活に影響が及びかねません。

被害を最小限に抑えるには、管理組合が中心となり、平常時から備えておくことが重要です。本記事では、マンションで浸水被害が起きやすい場所や、管理組合が取り組むべき対策を解説します。

マンションでも浸水対策が必要な理由

マンションは鉄筋コンクリート造が多く、上層階の住戸は室内まで水が入りにくい傾向があります。しかし、建物全体で考えると、浸水リスクがないわけではありません。

大雨による河川氾濫や内水氾濫のリスクがある

マンションの浸水被害は、河川の氾濫だけでなく「内水氾濫」によって発生することもあります。

内水氾濫とは、大雨によって下水道や排水設備の処理能力を超え、道路や敷地内に水があふれる現象です。河川や海から離れた場所にあるマンションでも、周辺より土地が低い場合や、排水能力を上回る短時間の大雨が降った場合には注意が必要です。

これまで浸水したことのない地域であっても、被害が起きないとは限りません。過去の経験だけで判断せず、地域の地形や想定される浸水の深さを確認しておく必要があります。

浸水するとマンション全体の生活に影響が及ぶ

1階や地下に受変電設備、給水設備、エレベーターの制御盤などが設置されているマンションでは、設備への浸水によって停電や断水が発生する可能性があります。

上層階の住戸に直接水が入らなくても、電気や水道、エレベーターが使えなくなれば、日常生活を続けることが難しくなります。設備の復旧に時間がかかる場合もあるため、マンション全体の問題として対策を考えることが大切です。

マンションで浸水被害が起きやすい場所

浸水対策を進めるには、マンション内のどこから水が入り、どの設備に被害が及ぶ可能性があるのかを把握する必要があります。

エントランスや1階の住戸・共用部分

道路や敷地内に水がたまると、エントランスや通用口、駐輪場などから建物内へ流れ込む可能性があります。入口に段差が少ないマンションは、居住者が出入りしやすい一方で、水も入りやすいため注意が必要です。

また、1階に住戸や管理員室、集会室などがある場合は、床や壁、家具、書類などが被害を受けるおそれがあります。

地下駐車場や機械式駐車場

地下へ続くスロープは、周辺から流れ込んだ水が集まりやすい場所です。排水ポンプの能力を超える雨が降ったり、停電によってポンプが停止したりすると、短時間で水位が上昇する可能性があります。

機械式駐車場の地下部分が浸水すれば、車両だけでなく、機械設備にも大きな損害が生じます。大雨が予想される場合の車両移動についても、あらかじめルールを決めておくと安心です。

電気室・受水槽・エレベーターなどの設備

地下や低層階に設置された電気室や受水槽、給水ポンプ、エレベーター設備も、浸水時に注意したい場所です。

これらの設備が故障すると、停電や断水、エレベーターの停止につながります。設備の修理や交換には高額な費用と時間が必要になることもあるため、優先的に対策を検討しましょう。

管理組合が取り組むべきマンションの浸水対策

トラブルを防ぐ防犯カメラの設置手順

浸水被害を完全に防ぐことは難しくても、事前の準備によって被害を軽減できる可能性があります。

ハザードマップで地域の浸水リスクを確認する

まずは、自治体や国が公開しているハザードマップで、マンションが浸水想定区域に含まれているかを確認しましょう。

想定される浸水の深さだけでなく、河川氾濫、内水氾濫、高潮など、どのような原因で被害が起きる可能性があるのかも確認します。過去に周辺で発生した水害や、敷地内の水の流れを調べることも有効です。

排水設備を点検して止水板や土のうを用意する

側溝や排水口に落ち葉やごみが詰まっていると、雨水が流れにくくなります。定期的に清掃し、排水ポンプが正常に動くか点検しておきましょう。

エントランスや地下駐車場の入口には、止水板や土のう、水のうを用意する方法があります。ただし、用意しただけでは緊急時にスムーズに使えません。設置場所や担当者を決め、実際に設置する訓練も行いましょう。

電気設備の防水化や設置場所の見直しを検討する

重要な設備が地下や低い位置にある場合は、防水扉や止水板の設置、配電盤などのかさ上げ、上層階への移設といった対策が考えられます。

大規模な工事には費用がかかるため、専門家による調査を行ったうえで、緊急性や予算を踏まえて優先順位を決めることが重要です。大規模修繕工事や長期修繕計画の見直しに合わせて検討すると、計画的に進めやすくなります。

防災マニュアルを作成して居住者へ周知する

管理組合は、大雨が予想される場合の連絡方法や止水板を設置するタイミング、設備を停止する際の手順などを決めておきましょう。

あわせて、避難場所や避難経路、要配慮者への支援方法も確認します。防災マニュアルを作成し、掲示板や配布物などを通じて居住者へ周知することが大切です。

マンションの保険内容を確認する

マンションが加入している火災保険に、水災補償が含まれているかも確認しておきましょう。保険の契約内容によっては、洪水や内水氾濫などによる共用部分の損害が補償される場合があります。

ただし、補償の対象や保険金が支払われる条件は契約によって異なります。管理会社や保険会社、代理店に確認し、マンションのリスクに合った内容になっているか見直しましょう。

浸水のおそれがあるとき・被害が発生したときの対応

マンションの補強方法について理解を深める

浸水の危険が迫っているときは、事前に決めた手順に沿って、落ち着いて対応する必要があります。

気象情報を確認して早めに浸水防止措置を行う

気象情報や自治体の避難情報を継続的に確認し、危険が高まる前に止水板や土のうを設置します。地下駐車場などから車両を移動させる場合も、雨が激しくなる前に行うことが重要です。

作業を始める基準を事前に決めておけば、理事会や居住者が判断に迷いにくくなります。

居住者の安全確保と避難を最優先にする

浸水が始まってから地下や屋外へ向かうことは危険です。対策作業に固執せず、身の危険を感じた場合は速やかに中止し、安全な場所へ移動しましょう。

避難が必要な場合は、高齢者や障がいのある方、小さな子どもがいる世帯などにも配慮しながら、居住者へ情報を伝えます。

被害状況を記録して管理会社や保険会社へ連絡する

浸水被害が発生した場合は、安全を確保したうえで、被害箇所を写真や動画で記録します。浸水の深さや設備の状態、発生日時なども残しておくと、保険申請や修繕の検討に役立ちます。

その後、管理会社や保守業者、保険会社などへ連絡し、専門家の確認を受けながら復旧を進めましょう。

日頃からの備えでマンションの浸水被害を抑えよう

マンションの浸水は、1階や地下部分だけの問題ではありません。電気設備や給水設備、エレベーターなどが被害を受けると、上層階を含むすべての居住者の生活に影響する可能性があります。

管理組合は、ハザードマップや設備の配置を確認し、止水対策や防災マニュアルの整備を進めることが大切です。何から取り組むべきか判断が難しい場合は、管理会社やマンション管理士などの専門家にも相談しながら、自分たちのマンションに合った備えを検討しましょう。

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