管理組合の総会はオンラインで開催できる?方法や議決権行使の注意点

マンションの管理組合では、年に1回以上、組合員が集まって総会を開催します。

しかし、仕事や家庭の事情などで会場に足を運ぶことが難しい組合員もいるため、日程調整に悩む場合もあるでしょう。

そこで選択肢の一つとなるのが、Web会議システムなどを利用した「オンライン総会」です。

この記事では、管理組合がオンライン総会を開催する方法や議決権行使の方法、開催時に注意したいポイントについて解説します。

管理組合の総会はオンラインで開催できる

国土交通省が令和7年に改正した「マンション標準管理規約」では、オンラインでの参加を前提とした総会の開催方法が位置付けられています。

ただし、実際にオンライン総会を開催する際は、自分たちのマンションの管理規約を確認する必要があります。

管理規約の内容や総会の開催手続きなどを踏まえたうえで、組合員が適切に参加し、議決できる環境を整えましょう。

オンライン総会を開催する前に管理規約を確認する

オンライン総会を開催する際は、まずマンションの管理規約を確認します。

管理規約には、総会の招集方法や議決権、議事の進め方など、管理組合の運営に関する基本的なルールが定められています。

また、2026年4月から改正区分所有法が施行されたため、国土交通省は「マンション標準管理規約」を改正しています。

特に注意したいのが、総会の開催方法や出席の扱い、議決権の行使方法です。

管理規約の内容によって対応が異なる可能性があるため、「オンラインで開催できるか」だけで判断せず、具体的な運用方法まで把握しておきましょう。

オンライン参加者も出席者として扱われる

オンラインで総会に参加した組合員についても、適切な方法で参加できる環境が確保されていれば、総会の出席者として扱うことが可能です。

単に会議URLを共有するだけではなく、本人が総会に参加していることを共有できる仕組みを整えておくことが重要になります。

そのため、事前に「会場への出席」「オンラインでの出席」「議決権行使書や委任状による参加」など、誰がどのように参加するのかを整理しておくと、当日の出席者数や議決権数を正確に管理しやすくなります。

管理組合がオンライン総会を開催する方法

管理組合がオンラインで総会を行う場合、参加方法や当日の進行方法をあらかじめ決めておく必要があります。

代表的な開催形式には、従来どおり会場を設けながらインターネットでも参加できるようにする「ハイブリッド型」と、会場を設けずインターネット上だけで行う「完全オンライン型」があります。

どちらを選ぶかによって必要な設備や準備も変わるため、組合員の年齢層やインターネット環境、運営側の負担などを考慮して、自分たちのマンションに適した方法を選びましょう。

会場とオンラインを併用する「ハイブリッド型」

ハイブリッド型とは、マンションの集会室などに会場を用意しながら、Web会議システムを通じて遠隔からも参加できるようにする方式です。

従来の総会とオンライン参加を組み合わせるため、インターネットの利用に慣れていない組合員にも対応しやすい点が特徴です。

会場に足を運べる人は対面で参加し、仕事や外出などで移動が難しい人は自宅から出席するといった使い分けができます。

一方で、会場側にもカメラやマイク、スピーカーなどの機器を準備しなければいけません。

オンライン参加者の発言が会場に聞こえなかったり、会場の音声が遠隔参加者に届かなかったりすると、議事の進行に支障が出るため、事前に機器の接続や音声を確認しておくと安心です。

オンラインのみで実施する「完全オンライン型」

完全オンライン型は、物理的な会場を設けず、Web会議システムを利用して総会を行う方式です。

会場の予約や設営が不要になり、開催場所を確保する手間を減らせます。

また、組合員は自宅などから参加できるため、移動時間をかけずに総会へ出席できます。

ただし、参加者全員がインターネットに接続できる環境を用意する必要があります。

通信環境や端末の不具合が発生すると、総会への参加そのものが難しくなるからです。

そのため、完全オンライン型を採用する場合は、接続方法が分からない人へのサポートや、通信トラブルが起きた際の対応方法まで含めて準備しておくことが重要になります。

使用するWeb会議システムと運用ルールを決める

オンライン総会では、ZoomなどのWeb会議システムを利用する方法があります。

サービスを選ぶ際は、参加人数だけでなく、映像や音声の安定性、投票機能の有無、セキュリティ面も確認しましょう。

また、使用するシステムを決めたら、総会当日の操作方法も整理しておきます。

たとえば、以下のような項目を事前に決めておくとスムーズに進行できます。

  • 入室時の本人確認方法
  • マイクをオン・オフにするタイミング
  • 発言を希望する場合の合図
  • 議決の際の意思表示の方法
  • 通信が途切れた場合の連絡手段
  • 録音・録画を行うかどうか

特に議決を行う場面では、誰がどのように賛否を示したのかを正確に把握できる環境づくりが欠かせません。

システムの機能だけに頼らず、管理組合側で確認方法を統一しておきましょう。

招集通知で参加方法や注意事項を案内する

総会をオンラインで開催する場合は、招集通知などを通じて、組合員に必要な情報を事前に伝えます。

オンライン参加を希望する人が当日になって操作方法に迷わないよう、参加用URLや参加手順、必要な機器などを分かりやすく案内しましょう。

あわせて、以下のような内容も記載しておくと安心です。

  • オンラインで参加できる日時
  • 参加用URLやアクセス方法
  • 必要な端末・通信環境
  • 入室時の本人確認方法
  • 発言や議決の手順
  • 通信障害が発生した場合の対応
  • 問い合わせ先

また、招集通知を送付した後に参加方法を変更すると、組合員が混乱する可能性があります。

開催日までに十分な準備期間を設け、必要に応じて接続テストを行うのが望ましいです。

オンラインに不慣れな組合員にも理解してもらえるよう、専門用語を多用せず、具体的な操作手順を伝えることがポイントです。

オンライン総会における議決権行使の方法

オンラインで総会を開く場合も、議案について組合員の意思を確認し、決められた要件に沿って決議を行います。

特に注意したいのが、オンライン上で参加している組合員の賛否をどのように確認するかという点です。

参加者が多い場合は、誰がどの議案に賛成・反対したのかを整理し、議決権数を正しく集計する必要があります。

ここでは、オンライン総会で議決権を行使する主な方法を見ていきましょう。

Web会議システム上で賛否を確認する

オンラインで出席している組合員から、その場で議案への賛否を確認する方法があります。

たとえば、Web会議システムの投票機能を利用したり、挙手機能やチャット機能などを使ったりする方法が考えられます。

参加人数や議案の内容に応じて、管理組合側が確認しやすい方法を選ぶとよいでしょう。

ただし、単に「賛成の人は手を挙げてください」とするだけでは、誰が意思表示をしたのか確認しにくいケースがあります。

議決権数を正確に反映するためにも、あらかじめ賛否の確認方法を決めておきましょう。

議決権行使書や委任状を事前に提出してもらう

総会当日にオンラインで参加できない組合員には、議決権行使書や委任状を事前に提出してもらう方法も有用です。

議決権行使書は、組合員本人が各議案について賛否を示すための書類です。

一方で委任状は、本人が総会に出席できない場合に、代理人へ議決権の行使を委任するために使用します。

オンライン総会では、すべての組合員がWeb会議に参加できるとは限りません。

そのため、オンラインでの出席だけを前提とせず、書面による議決権行使なども含めて対話しやすい方法を用意しておくことが大切です。

本人確認と議決権数の集計を正確に行う

オンライン総会では、参加者が区分所有者本人なのかを確認するとともに、それぞれが持つ議決権数を正しく把握しなければいけません。

Web会議システムに表示される名前だけでは、本人かどうかを判断できないケースがあります。

そのため、事前に参加者情報を確認したり、入室時に氏名を確認したりするなど、管理組合の状況に応じた本人確認の手段を検討しましょう。

また、マンションの管理規約などで定められた議決権数を確認し、オンラインで出席した組合員、議決権行使書を提出した組合員、委任状を提出した組合員などを区別して管理することも必須とされます。

「誰が参加したのか」「どの議案にどのような意思表示をしたのか」「何個の議決権が反映されたのか」を明確に記録できる体制を整えておきましょう。

管理組合がオンライン総会を開催する際の注意点

オンラインでの総会は、組合員が自宅や外出先から参加できる便利な方法ですが、対面での開催とは異なる課題もあります。

円滑に進めるために起こり得るトラブルを想定し、事前に対応方法を検討しておくと安心です。

通信障害が起きた場合の対応を決めておく

Web会議時にアクセスが集中すると、インターネット回線の不具合やシステムの障害によって、一部の参加者が途中で接続できなくなる可能性があります。

議案について説明している途中や議決を行う場面で通信が途切れると、総会の進行や決議に影響することがあります。

そのため、事前に通信障害が発生した場合の対応を決めておきましょう。

たとえば、一定時間接続の復旧を待つのか、電話など別の手段で連絡するのか、後日改めて総会を開催するのかなど、状況に応じた対応を検討します。

また、会議を主催する側は、当日に使用するインターネット環境や機器を事前に確認しておくことも重要です。

オンライン参加が難しい組合員にも配慮する

管理組合がオンラインで総会すると決めたとしても、すべての組合員がスマートフォンやパソコンを使ってWeb会議に参加できるとは限りません。

高齢者やインターネット環境が整っていない方にとっては、オンラインでの参加そのものが負担になる場合もあります。

デジタル化によって、かえって総会への参加機会が失われることのないよう配慮が必要です。

たとえば、会場での参加とオンライン参加を選べるハイブリッド型を採用したり、議決権行使書を提出できるようにしたりする方法があります。

また、操作方法をまとめた資料を事前に配布し、問い合わせ先を設けることも一つの方法です。

オンラインでの参加に不安がある組合員には、接続テストを実施するなどのサポートを行うとよいでしょう。

発言や投票ができる環境を整える

オンラインで総会に参加する組合員にとって、画面を見るだけでは十分な参加とはいえません。

議案について質問や意見を述べる機会があり、必要な場面で自分の意思を示せる環境を整えることが大切です。

発言を希望する場合の方法や、議案ごとに賛否を示す手順を明確にしておきましょう。

参加者が多い場合は、自由にマイクをオンにすると会議が混乱することもあります。

そのため、司会者が発言者を順番に指名するなど、円滑に意見を聞くためのルールを設けると滞りなく進められます。

個人情報や会議URLの取り扱いに注意する

開催時には、必要に応じて参加者の氏名やメールアドレスなどの個人情報を取り扱うケースがあります。

また、会議に参加するためのURLやID、パスコードが第三者に知られると、関係者以外が会議に参加するリスクもないとは言い切れません。

そのため、会議用のルームなどの情報は、組合員以外に不用意に共有されないよう厳重に管理しましょう。

目に入りやすい掲示板に載せるのではなく、必要な方に限定してメールで案内するほか、パスコードや待機室など、利用するWeb会議システムのセキュリティ機能を活用する方法もあります。

加えて、録音や録画を行う際は、目的や取り扱い方法を明確にしておきましょう。

議事録に開催方法と議決結果を記録する

総会が終了した後は議事録を作成し、どのような議案について審議・決議したのかを記録します。

オンラインで開催した場合であっても、通常の総会と同様に結果を記載するとともに、どのような方法で総会を行ったのかがわかるように整理しておくとよいでしょう。

たとえば、会場とオンラインを併用したのか、オンラインのみで実施したのか、どのような方法で参加者の出席や議決権を確認したのかなどを記述しておくことで、いつでも総会の運営状況を確認しやすくなります。

オンライン総会を円滑に進めるため専門家へ相談しよう

管理組合の総会は、Web会議システムなどを活用してオンラインで開催することが可能です。

会場とオンラインを併用するハイブリッド型や、オンラインのみで行う完全オンライン型など、マンションの状況に合わせて開催方法を選択できます。

一方で、実施するには管理規約との整合性を確認したうえで、出席者の確認や議決権の集計、発言・投票の方法、通信障害への対応などを事前に整えておく必要があります。

個人情報や会議URLの管理にも注意が必要です。

特に、初めてオンライン総会を導入する管理組合では、どこまで準備すればよいのか判断に迷うこともあるでしょう。

オンライン化そのものを目的にするのではなく、組合員が公平に参加し、適切に意思決定できる環境を整えることが大切です。

専門家のサポートも活用しながら、自分たちの管理組合に合った総会の運営方法を検討してみてください。

マンション管理についてのご相談はこちらから