マンション管理組合が知っておきたい法律|基本の法律その他

マンション管理組合が知っておくべき法律

マンション管理組合は、組合員すなわちマンションの区分所有者で構成されています。そのため組合員全員がマンションに関する法律に詳しい人ばかりとは限りません。

しかし、マンション管理組合は組合の業務を運営していく上で、知っておきたい法律があります。

今回は、知っておきたい法律をいくつか紹介しますので、参考としてください。

マンション管理組合が知っておきたい2つの法律

マンション管理組合・理事が知っておくべき2つの法律

管理組合、特に理事長や理事、監事などの役員が知っておきたい法律としては、以下の2つが挙げられます。

  • 区分所有法
  • マンション管理適正化法

以下でそれぞれの法律について解説します。

区分所有法

区分所有法、正式には建物の区分所有等に関する法律』といい、民法では補いきれない建物の区分所有のルールを定めており、民法の特別法とされています。特別法は民法に優先します。

この法律は、一棟の建物を数個の区切られた区画に分け、その区画ごとをそれぞれ数人で所有(区分所有といいます)するための権利関係等を調整するために制定されました。

区分所有法は全72条で、以下の内容で構成されています。

  • 第一章:建物の区分所有
    第一節:総則
    第二節:共用部分等
    第三節:敷地利用権
    第四節:管理者
    第五節:規約及び集会
    第六節:管理組合法人
    第七節:義務違反者に対する措置
    第八節:復旧及び建替え
  • 第二章:団地
  • 第三章:罰則

この法律を大まかに解説すれば「区分所有者が管理組合を共同で運営すること」や「組合が共用部分の管理の最高意思決定機関であること」などを定めています。

管理組合の運営上必要なことや、区分所有者の責任や禁止事項なども定められているので、組合運営において必要な知識と言えるでしょう。

マンション管理適正化法

マンション管理適正化法とは、正式には『マンションの管理の適正化の推進に関する法律』といい、その名のとおり、管理組合と深い関わりのあるマンション管理会社やマンション管理士などについて定めており、全113条で構成されています。

例えば、マンション管理会社が管理組合と管理委託契約を結ぶ場合に必要となる事項などについて定められています。

改正マンション管理適正化法が施行

このマンション管理適正化法は、2022年4月に改正されました。

改正内容は、以下のとおりです。

  • 国による基本方針の策定に関する事項の追加
  • マンション管理適正化推進計画制度の策定
  • 管理計画認定制度の新設
  • 管理適正化のための地方公共団体による指導・助言等が可能となった

管理組合としてすべてを理解する必要はありませんが、ある程度の内容は把握しておくと良いでしょう。

その他に知っておきたい法律

マンショントラブルの際に知っておきたい法律

その他に知っておきたい法律として、以下の2つがあります。

  • マンション建替え円滑化法
  • 被災マンション法

それぞれの法律について、以下で解説します。

マンション建替え円滑化法

マンション建替え円滑化法は、正式には『マンションの建替え等の円滑化に関する法律』といい、マンションの老朽化や耐震性不足で除却が必要となったマンションの建替えをスムーズに実施出来るように整備された法律で、全232条で構成されています。

マンションは複数の所有者で一つの建物を共有するという特殊な権利関係のため、建替え一つをとっても区分所有者全員の意思の統一が困難なケースもあります。

この法律では建替えを円滑に進める為に、都道府県知事の認可を得て法人格を持つ「マンション建替え組合」を設立し、建替え事業を進めることができるというものです。

法人格を持つという事から、建替え工事に関しての契約締結や、融資の借入れなども可能となります。
また、建替えの為には建物を一旦取り壊さなくてはなりません。
本来なら建物が消滅した場合には、当然に区分所有関係も消滅し、必然的に管理組合も無くなります。
しかし、この法律による建替事業を適用した場合には、区分所有関係を維持したまま建替えを実施することが可能となっています。

被災マンション法

被災マンション法は正式には、『被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法』といい、全19条で構成されています。

マンション建替え円滑化法のところでも述べましたが、大規模災害などで建物が損壊し、全壊してしまった場合、区分所有関係は消滅し、敷地の共有関係のみが残ります。

区分所有関係が無いということは、すなわち区分所有法は適用されず、民法が適用されることになります。
民法の規定ではマンションを再建あるいは敷地に関する共有持ち分を譲渡するには区分所有者全員の同意が必要となります。

つまり、誰か一人でも同意しない場合は、再建も譲渡もできない状態になってしまうのです。

大規模災害の時に、区分所有者の消息がつかめない、あるいは一部の共有者が持ち分の譲渡に反対するという事態も想定され、生活の再建を図るために、平成7年の阪神淡路大震災の教訓をもとに設けられた区分所有法を補完する法律です。

被災マンション法は、マンション敷地共有者の5分の4以上の賛成で建て直しあるいは敷地の売却が可能になるといった内容になっています。

マンション管理組合は法律を勉強するべき?

マンション管理組合は法律を勉強するべき?

マンション管理組合がマンション関連の法律のすべてを理解しておくことは難しいと思います。

管理組合は、組合員すなわち区分所有者で構成されており、必ずしもそのすべてが法律の専門家とは言えません。

しかし、組合員の利益を守るためには、多少の法律的な知識も必要となるでしょう。

そこで、マンション管理会社やマンション管理士を活用するというのも一つの方法です。

いざというときに頼れる存在がいれば安心ですね。

マンション管理における法律相談ならマンション管理士へ

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