管理会社の変更に関する注意点
管理組合(区分所有者の団体、以下同じ)の業務は非常に多岐にわたります。理事会に選ばれた役員(理事長・理事・監事、以下同じ)の方たちはそのためにたくさんの時間と労力を費やすことになり、役員に選出されるのをついつい辞退してしまう・・・なんて話もよくあるようです。
そこで、そんな管理組合の強い味方となって業務をサポートしてくれるのが管理会社です。
管理会社は管理組合と業務委託契約を締結し管理組合の業務を代行します。
具体的にどのような業務を委託するのかというと、
- 事務管理業務
- 管理員業務
- 清掃業務
- 建物・設備管理業務
が挙げられます。
更に、上記の1〜4の業務の中にもそれぞれ具体的な内容に分かれていて、業務委託契約を締結するときに、それぞれの項目についての内容を定めていきます(業務委託契約の中身の話はまた別の機会に)。
管理組合は組合員(区分所有者、以下同じ)から集めた管理費の中から委託費用を支払って管理会社に業務を委託することになるわけです。言うまでもなく、この管理費は組合員から集めた大切なお金です。管理組合は最小の支出で最大の効果を上げるべく、非常にデリケートなこの課題を解決すべく活動をしていかなくてはなりません。
支出を抑える一つの手段としてしばしば検討されるのが、管理会社への委託業務費を圧縮できないか?ということです。この委託業務費を低減するための手段としては、具体的に以下のような方法が挙げられます。
- ①委託業務の内容を見直し、委託する項目を減らす
- ②現在の管理会社とこれまでの契約内容はそのままで、委託費用の値下げを交渉する
- ③委託費用の安い管理会社へ変更する
それではこれらのことを一つずつ見て行きましょう。
①の委託項目の見直しは、委託業務費低減の場合のみならず、委託契約の際には必ず見直した方が良いでしょう。前回と同じ内容のまま見直しをせずにそのまま契約を更新していると、それぞれのマンションの実態に合わなくなった項目が残っていたり、逆に追加した方が良いような項目が無かったりすることがあります。
当然、委託する内容が増えれば管理組合が管理会社に支払う委託業務費用も大きくなりますし、逆にこの費用を節約しようとすれば管理組合自身が自ら行う業務の内容も増えることになります。
組合員が、自分たちの共通の資産であるマンションの管理に関心を持ち、自分たちで出来ることは自分たちで、また、専門家の力を借りなくては難しいことは専門家に任せる、といった組合の運営が理想と言えます。
②の委託費用の値下げ交渉ですが、これも必要に応じて交渉をすることは有効だと考えられます。市場原理の導入で、同じ委託業務の内容でも価格の安い管理会社もあります。管理委託契約締結(更新)の際に入札などを行い、市場価格と乖離(かいり)していない価格で契約を結び支出を抑えるということも選択肢の一つとして考えられます。
③の委託費用の安い管理会社へ変更するのも一つの方法としては考えられますが、これも上記の①又は②、あるいは①と②を同時に実行した上での最後の手段として考えた方が良いでしょう。何故なら管理組合の運営は非常に多くの経験と労力を必要とします。
役員が数年に渡り、同じ組合員の方が就任している場合などを除き、1~2年で交代してしまう場合などはノウハウの引継ぎ等がうまくされないケースがあります。管理のプロである管理会社はこのノウハウを持っていますので、個々のマンションの実態に応じて対応してくれます。
仮に委託管理費の安い管理会社へ毎年変更するとなると、このノウハウは全く継承されないことになってしまいます。管理委託契約を打ち切られた管理会社がわざわざ次の新しい管理会社へそのノウハウを引き継ぐなどということはまずあり得ないでしょう。
このようなことを踏まえて、管理会社の変更は慎重に行った方が良いと言えます。 それでもいろいろな事情により管理会社の検討をしたいという管理組合や役員の方は、是非一度、当社へ気軽にご相談ください。